1.ヒトの妊孕力の多様性の解明
関連プロジェクト:ベビ待ち調査

関連講演:「『妊娠しやすさ』の科学の動向と課題」

妊孕力(にんようりょく)とは、子どもを生む生物学的な能力、いわゆる「妊娠しやすさ」を意味する用語です。
なぜ妊孕力の高い人と低い人がいるのかについて研究しています。

月経周期あたりの受胎確率(=[ある周期で妊娠したカップル数]/[ある周期の開始時に妊娠していなかったカップル数])を測定したいくつかの疫学研究によると、妊孕力はカップル間で大きく異なる(heterogeneous, 異質性がある)ことがわかっています。
その間接的な証拠として、避妊をやめた複数のカップルを追跡すると、妊娠しやすいカップルが初期に妊娠し、妊娠しにくいカップルが残るので、見かけ上は追跡期間を通じて集団の受胎確率が低下します。

経験的にカップル間の妊孕力の異質性が知られている一方、どのような要素が妊孕力の高さを決めるのかについてはわずかなことしかわかっていません。
男女ともに年齢が上がると妊孕力が低下します。また当然ながら月経周期あたりの性交頻度や(排卵日に対する)タイミングは受胎確率に強く影響します。
しかし年齢や行動の影響を調整してもなお妊孕力の異質性が存在します。妊孕力の異質性の解明を目指して、環境化学物質曝露の妊孕力への影響にも着目しながら研究しています。

 

2.少子化に対する生物行動的要因の解明

日本や他の多くの国々で少子化(低出生力)が進行しています。
カップルが子どもをもつことを望まないこと、また結婚する男女が減っていることは低出生力の主な要因です。
一方、日本は世界で最も多くの不妊治療が行われていることから、妊娠を希望するカップルの妊孕力が低いことも低出生力の一因であると推測されます。

私たちは受胎待ち時間(避妊をやめてから妊娠するまでに要する期間の長さ)を指標として疫学調査を実施し、妊娠を希望する日本人カップルの妊孕力を測定しました(Konishi et al. 2018, 人口学研究)論文紹介。現在は妊娠待ち時間に影響する要因について研究を進めています。